協力して良いものを

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石倉英明島根県
総務部財政課予算第2グループ企画員
石倉 英明

私は今、事務系職場で勤務しています。1998年に大学の土木工学科を卒業し、今年で20年勤務したところです。40歳になる3年前、人事交流で今の部署に転勤しました。公共団体では、職員の知識向上を目的に、少数ですが人事交流を行っているのが一般的かと思います。
さて、私の橋梁に関わった経験のうち思い出深い案件について、三つご紹介します。
一つは、2005年から東京都赤坂にある(一財)日本建設情報総合センターに出向していた時「公共事業における電子化の推進」について、橋梁を例に電子データがどう引き継がれていくべきかといった「あるべき姿」や「納品基準」の業務に携わっていました。概略→詳細設計→工事発注→台帳管理→点検→修繕と20年程度をかけて図面データが引き継がれていく訳ですが、実際には、「橋梁台帳にある図面は基本図だけで補修には使えない」とか、「数年前に耐震補強した図面が残っていない」「見たい箇所の写真がない」といった現実を、どう克服していくのか「理想」と「現実」のギャップを解決するまでには至りませんでした。
膨大な施工データを維持管理に必要な分だけ今どう整理し管理するのか、進化するIT(ビッグデータ等)とどう向き合うべきかといったことは、とても難しく、それを管理する人が数年で変わっていく中で、どのように効率的に引き継いでいくのか、解決策を見い出せた自治体はないと思います。
次に、東京大学・東北大学と二つの市町、(一財)橋梁調査会が共同で行った「橋梁管理の高度化に関する研究」についてです。
この研究を我々は、「島根プロジェクト」と名づけ、技術職のいない市町村が喫緊の課題であるインフラ管理を、予算が少ない中どう対応していくか、市町村が無理なく、持続可能なやり方を行うために必要な体制(仕組み)を具体的に検討しました。
今から5年前に国交省の皆さんの全面協力のもとはじめたもので、その中の一つのテーマは「第1回道路メンテナンス大賞」を受賞しました。職員の技術力向上、コスト縮減といった効果がでてきており、北海道や東京、愛知など自治体関係者が視察に訪れるまでになりました。詳細は、「市町村ど〜ろ会議」と検索してみてください。
次に、橋梁の技術基準が改訂された時の話です。都会のような重交通下にある橋梁と島根のような田舎で交通量が少ない橋梁とは、同じ設計思想ではなく、柔軟に対応すべきではないかという考えだったかと思います。
ところが、「設計に用いるソフトが対応していないため従前の考え方で設計する」という残念な話が舞い込んできました。「困ったなぁ」と思っていたら、「セカンドオピニオンに相談してみよう」という話になり、経験豊かな方に再検討してもらった結果、〇億円規模のコスト縮減につながりました。
ただ、これをコスト縮減と呼んではいけない、自分にその判断をする技量がなかったと情けなく思った時期でした。公務員技術者として採用されながら、予算執行や消化に一生懸命で考えること・技術研鑽といったことに時間を費やしていない結果でした。
今後は、前例踏襲やできない理由を考えるのではなく、施工業者の方の思いも考えながら、協力していいものをつくっていきたいと思います。
次は、島根プロジェクトで活躍した、小さな町の事務職員 島根県奥出雲町建設課、安部俊光様にリレーします。

愛知製鋼