▼10月中旬になってから、むしろ熊の出没、被害は拡大の一途を辿るようだ。東北地方では過去最悪と言われた2023年にかなりの「個体管理」を実施し熊の数は減ったが、昨年のドングリなどの豊作により再び増加したと推測されている▼一転して不作の今年は、山中での過密な縄張り争いを避けた熊が食べ物を求め市街に下りてくるらしい▼1982年公開の映画「マタギ」は老マタギと人食い巨熊の死闘を描いた、西村晃主演の傑作。舞台となった秋田県阿仁町(現北秋田市)はマタギ発祥の地とされる▼その北秋田市でも先月22日早朝に民家の地下倉庫に入り込んだ熊が発見され、同日中には入口に仕掛けた箱わなに捕獲されている。熊との『共存』に慣れた土地柄ならではの素早い対応だ▼先人が開墾し管理してきた農地や森林が放棄され里山が衰退していく以上、熊が縦横に活動できるテリトリーはさらに広がり、個体数が増える。彼らの生存競争も激しくなるわけだ▼まさに映画「マタギ」のような、むき出しの自然との闘争を市街地でも余儀なくされるかもしれない▼適切な「個体管理」に必要な猟銃免許所持者は1979年度で約45万人、現在は21万人程度とされる。インフラ整備と同様、ここでも人手不足が深刻だ。
