11月12日、中国四川省馬爾康市の大渡河東源部に架かる「紅旗特大橋」が崩落した。調べると同橋は、橋長は758メートル、主径間は220メートルのPC連続ラーメン橋で、主塔は高さ172メートルに達し、相当にスケールが大きい。しかも完成からわずか数カ月という報だ▼崩落の直接のきっかけは、橋台が据えられた山体斜面の滑落進行とされる。しかし前日には右岸側の山体変形や斜面亀裂、路面損傷が確認され、当局は通行止めを実施。人的被害が生じなかったのは、早期の異常検知と交通遮断の判断が奏功した結果だ▼思い返せば今年8月、青海省で黄河を跨ぐ橋長約1600㍍の高速鉄道用連続鋼アーチ橋「青海・黄河大橋」でも、閉合目前にPCケーブルが破断し、主桁とアーチが崩落。12人が死亡、4人が行方不明という痛ましい事故があったばかり▼大規模・高難度の橋梁は、設計・施工・監視・維持管理のどこか一つでもほころびが生じれば、一気にシステム全体の脆弱性が露呈する。だからこそ、私たち橋梁に携わる者は、これを「対岸の火事」と片付けるべきではない▼事実とデータに基づく冷静な検証を積み重ね、設計照査や施工計画、モニタリングの標準を自ら更新していく。橋を守る責務は、国境を超えて共有されるべきだ。
