吾唯知足2025年12月1日号掲載分

吾唯知足 パリ協定採択から10年の節目となったCOP30は、国際社会に1・5度目標達成への具体的な行動を強く迫る場となった。日本は技術力や資金拠出を強調し国際貢献をアピールする一方、国内の化石燃料依存を理由に「化石賞」を受賞するなど、「理念と現実の乖離」という二重の立場に立たされた▼この国際的な脱炭素圧力は、鉄鋼・セメントなど高排出素材に依存する橋梁業界に構造転換を要求している。橋梁を含むインフラ分野の排出量は、資材製造や輸送を含めたサプライチェーン全体で全排出量の約11~13%に相当するとの試算がある▼業界の対応では橋建協が2023年に「カーボンニュートラル方針」を策定し、50年目標を明確化。再エネ活用や鋼材メーカーとの連携で原材料製造時の排出削減を進めている。国交省は「GHG排出量算定マニュアル案」を公表し、橋梁施工段階の排出量評価の仕組みを整備。日建連が30年度までに施工段階の排出量を40%削減する目標を掲げ、直接排出から資材製造・輸送まで含めた排出量管理の徹底が必須だ▼電動建機などの技術革新の実用化は時間を要するが、国際的な信頼を勝ち取るためにも橋梁業界は今後、サプライチェーン全体での排出削減という構造的課題の克服が焦点となろう。

愛知製鋼