吾唯知足2025年5月1日号掲載分

吾唯知足 3月31日に中央防災会議が公表した南海トラフ地震による被害想定では、様々な経済的損失の被害総額を最大292兆3000億円としている▼建物などの被害については震動や津波など、またはその後に発生した火災などで最悪235万棟が失われ、さらに死者数は29万8000人にも上る可能性があるという▼南海トラフ地震の被害想定は2012年と13年にも公表されている。死者数や建物被害はその前回想定より下がったとはいえ、被害総額は逆に増加している▼この10年で様々な地震に見舞われており、それだけ地震被害に対する知見は高まり精緻になっていることも理由だろうし、あるいは10年前に比べれば物価高もある。被害額が増えるのも致し方がないが、いずれの数字もやはり衝撃的だ▼中央防災会議の公表から数日を過ごした4月4日、地震とそれに続く豪雨による災害から復興途上にある能登半島の輪島市では、計画されていた仮設住宅の整備が完了し入居が始まっている▼これにより石川県内で指定避難所での生活を余儀なくされていた、最後の避難者の入居が可能になったという▼復興に力を尽くす人に敬意を表しつつ、1年以上にわたり不自由な生活を強いられる人々がいることを忘れてはならないと思う。

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