吾唯知足2025年6月11日号掲載分

吾唯知足 野菜・肉、そのほかあらゆる食品が値上がりする昨今、値上がりを聞きつけ慌ててスーパーに走ったらなるほど既に倍近い値段だった▼苦しいのは一般消費者ばかりではない。弁当屋などの今年度6月までの倒産件数は2024年度をはるかに上回るという▼思い出すのは平成の米不足。1993年~翌94年にかけ半年間ほど不作により米が不足、その際はタイ米の緊急輸入でしのぐ▼遡ること1918年の「大正の米騒動」は凄まじい。好景気で需要増、農村から都市への人口流出で生産量低下、シベリア出兵など政治状況と投機筋の思惑などもあって、米価格は高騰▼発端は富山県の漁港での米の積出し停止要求のデモだったが、一気に全国に飛び火し、多数の死傷者に加え検挙された人数は2万5000人超。当時の政府の対応のまずさは致命的だった▼現在、政府は備蓄米放出で対応するが、そもそも備蓄米は米の値崩れを抑えるとともに非常時の頼みの綱だ。それをいともたやすく放出するのはあまりに下策。根本的解決の前に付け焼刃な対応は将来に禍根を残す▼6日、国土強靱化実施中期計画が公表された。5年間で20兆円超を使いインフラの老朽化や防災・減災に立ち向かう。付け焼刃は不要、未来に何を残せるか。

愛知製鋼