先ごろ、公表された2024年度の新生児の出生数は68万6061人、70万人を割り込んだ。統計を取り出してから最大の出生数は1949年の約269万人、約4分の1まで下がったわけだ▼先月27日にドイツのメルケル元首相が回顧録「自由」の邦訳出版に合わせて来日し、トークイベントなどを行っている▼同氏は2005年から2010年の長期政権を築く中で、特に10年頃からは移民をドイツ社会に取り組むべく様々な政策を実行している▼ドイツ語の習得を義務化した上で、雇用支援プログラムを導入、さらにドイツで生まれた移民の子どもに国籍を選択できる制度を整備した▼15年のシリア危機では、100万人以上の難民を受け入れたことについて経済・人道、両面で評価されるが、反発も強く、社会の右傾化、さらに差別的な極右政党の台頭につながったとも言われる▼わが国の状況に戻ると、国の予測では新生児出生数が70万人を割るのは39年だったはずで、少子化は加速度的に進んでいるのは明らかだ▼これらを踏まえ、現在27年を目標に育成就労制度の創設に向けた整備が進行中だ。技能実習制度に代わる新しい外国人材の受け入れ・育成制度で、従事できる業務の範囲が広がるという。人手不足対策に起死回生の一手となるか。