先月、徳島自動車道で中型トラックと高速バスが正面衝突し、バスの乗客とトラック運転手の2人が命を落とす痛ましい事故が起きた。報道によれば、トラックがセンターラインを越えて対向車線にはみ出した。タイヤの破裂が原因として疑われている▼現場は「暫定2車線」区間。片側1車線の対面通行でセンターポールだけが行き交う車を隔てている。わずかな運転ミスや突発的な車両異常が即座に正面衝突という最悪の事態を招きかねない。死亡事故率は片側2車線以上の区間に比べて約2倍に達する▼国や高速道路会社が進めている暫定2車線区間の4車線化がより急がれるべきことは言うまでもないが、暫定的な措置としてはワイヤーロープ式防護柵の導入で対向車線への飛び出しは劇的に減らせるという。2023年3月末までの集計で導入済みの区間で17年以降に発生した3716件の事故のうち、対向車線への飛び出しはわずか10件、死亡事故は報告されていない。橋梁、トンネルでの設置は技術的に難しいのであれば、早急な代替え案が必要だ▼わが国の人口は昨年、自然減は過去最大の約100万人に達した。社会が命の重みを痛感している今こそ逆走車防止対策含め「命を守るインフラ」の重要性を強調したい。