国交省が先月末に公表した「道路メンテナンス年報」は、橋梁維持管理の現在を端的に示している。橋梁以外で興味深いのは直轄国道の路面下空洞の調査結果で、路面陥没の可能性の高いA判定は119カ所すべて着手(8月25日現在で118カ所完了)。直轄国道における昨年度の路面下空洞調査の調査延長は3079キロ(調査対象延長の約15%)で空洞確認個所は4739カ所だった▼路面陥没の原因は下水道管や排水管などの地下埋設管の老朽化や破損などとされる。地震や豪雨もまた起こりやすい要因となっている。大雨・豪雨時には、地下に浸入した水が土中を通って管周りの土を侵食し、空洞化から陥没に至るメカニズムが学会報告にも示されている▼異常気象が毎年のように発生し、わが国でも、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風や令和2年7月豪雨をはじめ、毎年のように豪雨災害による被害が生じている▼既設橋梁も桁下余裕不足、橋脚洗掘、漂流物衝突、計画高水位超過から被災、桁が流出している事例がある。近年の異常気象や大規模災害の頻発を背景に、橋梁の長寿命化修繕計画に自然災害リスクを反映させる手法が、国や自治体で重要視されてきているという。予防保全へのシフトは急務だ。