吾唯知足2026年1月1日号掲載分

謹賀新年。あけましておめでとうございます。新年早々、「失われた30年」を考える機会があった。もともとアメリカの1970年代から2000年代にかけて政府の財政赤字の拡大、軍事支出や社会保障の増大により、公共インフラへの投資が縮小していった「荒廃するアメリカ」の時期だ▼公共工事の投資不足は地域経済を妨げる要因となり、インフラの老朽化が深刻化した。07年のミネソタ州でのI―35W橋崩落事故は象徴的事件だった▼アメリカの主要道路の39%は悪いまたは普通以下の状態という(20年の43%からは改善)。投資額は増えているが、建設費高騰で目減りしている▼日本の「失われた30年」は世界資本主義の中で世界システムの破綻を防ぐ「緩衝材」として「停滞と安定」を引き受け世界の資金配分を調整する錨として機能してきたと解釈できる▼新たな政権の下、持続的成長を遂げるためにはインフラ投資でも「急進的な成長」や「絶対的な安全」といった過剰な欲望を抑制しなければならない。インフレによるコスト増の局面こそ、投資の優先順位を量から質の改善へと絞り込み、長期的な安定を支える技術革新に焦点を当てるべきだろう。インフラは国家の「未来の器」だ。器の形の整え方が、次の30年を決める。

愛知製鋼