吾唯知足2026年4月11日号掲載分

吾唯知足 1967年製作の「卒業」は、人生の岐路に立ち不安を覚えつつも行動を通じて成長する青年を描く青春映画。恋愛、親子、就職、宗教、資本主義など様々な事象を風刺する名作だ▼映画前半、有名大学を卒業し帰郷した主人公のため、中産階級の両親が親戚・知人を集め卒業パーティーを開くが、進路に悩む彼は楽しめない。そんな彼に投資家らしき老紳士が助言する。「これからはプラスチックだよ」▼成形し易く木や金属の代用となり、様々に見かけを模ることができるが、実は偽物。成績優秀だが中身のない主人公や、彼が属する中産階級の実のなさを、プラスチックになぞらえている▼アメリカでは本格的な商品化が1907年に発明された「ベークライト」。さらに、70年代に入ると強度などに優れた性質を持つエンジニアリング・プラスチックが開発され、普及は一気に進む▼日本でも高度成長期の60年代には日用品の様々なものに取り入れられ主要産業になる。現在、スーパーに行けばあらゆる食品の包装に使われ、医療現場でも使い捨ての注射器や手袋などはプラスチック。実がないどころか、これなしで社会は回らない▼石油から精製されるナフサが主原料、イラン戦争開始後、生産量ゼロの危機が囁かれる。

愛知製鋼