株式会社国土
安全品質管理室長
明田川 章子
弊社は新潟県新潟市に本社を構え、橋梁工事(新設・撤去・リニューアル)の他、大型クレーンを扱う建設業と長尺・重量物を扱う運送業を営んでいます。
私は2001年に入社し、2019年に労働安全コンサルタントの資格を取得後、現在店社パトロールを始めとした安全衛生管理の総括業務に従事しています。
入社時は経理・工務などの事務職に従事しており、自分と『現場』とは大きな距離がある認識のまま数年が経過しました。
8年目、『現場』との距離が無くなる出来事がありました。鋼橋の伸縮装置の補修工事でした。経験を積むため、所長の補佐として現場配属となりました。
経験豊富なベテラン所長により現場は運営され、指導を受けるはずでしたが、着手後しばらくして頼みの所長が現場を離脱することになり、まさかの所長業デビューとなりました。『他人事』に捉えていた『現場』がここでようやく『自分事』になりました。
施工能率が計画より芳しくないことが着手後判明し、急遽応援者と設備を投入しましたが手遅れで、工期延長となりました。
現況合わせの出来高管理を行い、設計変更が認められない数量の施工をする事になりました。焦りで周囲とのコミュニケーションも満足に取れず、同僚と協力業者様に大迷惑をかけつつなんとか工事は完了することができました。
竣工検査では終始お叱りの言葉を受けました。返す言葉もありません。スタート時から『他人事』として安易に現場に関わってしまった後悔しかありませんでした。
16年目、人手不足で再度『現場』へお呼びがかかりました。橋脚の補修工事でした。
前回の現場と比べ規模・工期共に大きく、正直前回で懲りていたのでもう勘弁と思いましたが、受けることにしました。
最初から『自分事』として『現場』に関わることで、過去の後悔が多少は昇華されるのではないかと思ったからです。
結論は『すごくしんどかったが、チャレンジして良かった』です。『納得が行くまでコミュニケーションを重ねる・調べる・考える』ことができ、それを受け入れ、教えてもらえる環境で現場を運営できたことが大きかったです。
工事成績も確保でき、当時毎日遅くまでお付き合い頂いた監督員、協力業者様におきましては、もちろん同僚も含めて大変感謝をしています。自分がこれまで助けられ、育てて頂いた恩返しをやらなければと思うようになりました。
17年目以降、主に橋梁工事の店社パトロールを担当することになり、『現場』へ伺う機会が増えました。事故が起これば、教育訓練の要望があれば、相談があればいつでもどこでも駆け付けられるようになりました。
従来から働き手の確保に頭を抱える建設業ですが、性別問わず働きやすい環境の確保が推進され、少しずつですが改善を実感しています。
誰かが必ずやらねばならない社会インフラの維持、今後益々活躍が期待される女性のチャレンジをお待ちしています。やる気がやりがいになり、案外なんとかなるものです。
自分も微力ながらこの業界に貢献できるよう努めてまいります。
次回は、日頃よりお世話になっております、ドーピー建設工業㈱東日本グループ安全品質環境管理室長の牧洋之氏へお繋ぎします。