橋に、人に導かれて

西 弘株式会社CORE技術研究所
取締役副社長東京支店長
西 弘

私は1991年に近畿大学を卒業しました。就職活動の時期には、当時、宮司であった父の勧めもあり、神職の資格を取得するため國學院大學の神職養成講習会に夏休みと春休みを利用して参加していました。就職活動をしていない私の様子を見かねて、研究室の宮脇秀年先生が富士ピー・エスを紹介してくださいました。こうして私は同社に入社し、橋梁の世界に導かれることになりました。
入社後は大阪支店工務部に配属され、四国縦断自動車道の合床版工法による連続PC合成桁橋の工事に従事しました。新入社員であった私にとって、主桁架設や鉄筋・型枠の組立、コンクリート打設といった作業の一つ一つが大きな達成感につながるものでした。
また主桁架設前には、略式で日本酒と塩で現場を清め作業の安全を祈願する場面に立ち会うこともあり、土木と信仰・文化が古くから結びついていることを実感しました。
1995年には阪神淡路大震災の復旧工事に携わることとなりました。阪神高速道路の1996年9月30日の開通に向け、現場では昼夜を問わず復旧工事が続き、私自身もほぼ不眠不休で工事に従事しました。当時は非常に厳しい日々でしたが、社会基盤を支える橋梁の重要性を身をもって感じた経験であったと思います。
その後、設計部に配属となり、現所属であるCORE技術研究所代表取締役社長の真鍋英規(当時主任)の部下となりました。今年でちょうど部下歴30年になります。2003年には、後に架け替え工事が行われた阪神高速14号松原線喜連瓜破橋のたわみ回復補強の設計に携わりました。同橋は1985年頃から中央ヒンジ部の垂れ下がりが問題となり、架け替えに至るまで多くの方々が関わってきました。その一端に私も関われたことを大変うれしく思っています。
2008年3月に富士ピー・エスを退社し、その後5年ほど調査会社に勤務したのち、2013年7月に橋梁や構造物の維持管理に関する調査設計を行うCORE技術研究所を設立しました。現在は取締役副社長兼東京支店長を務めています。設立当初は10名程度の会社でしたが、多くの方々のご支援とご協力のおかげで順調に発展を続けることができています。
2017年には土木学会複合構造委員会防水排水小委員会に参加する機会をいただきました。そのご縁から岩手大学の大西弘志教授のご指導のもと、PC橋の維持管理に関する研究に取り組み学位を取得することができました。これも多くの皆様のご指導とご支援の賜物であり、深く感謝しております。
これまで多くの方々に導かれ橋梁の世界を歩んできました。そのご恩を次の世代へ恩送りすることが私の役割だと感じています。今後も新しい技術や時代の動向を捉えながら、社会基盤を支える橋梁の維持管理に貢献し、持続的に発展する会社を目指していきたいと考えています。
次回は、社会基盤維持管理研究会でお世話になっている奥村組の守屋裕兄様にバトンをお渡しします。

愛知製鋼