生涯エンジニア

守屋 裕兄株式会社奥村組
土木本部 土木技術部長
守屋 裕兄

私は1995年に大阪大学大学院を修了し、奥村組に入社しました。大学時代は松井繁之先生のご指導のもと、先生が考案された「床版クラック法」を用いて通行車両の軸重を計測する研究に取り組みました。床版下面に発生したひび割れに複数のπゲージを貼り付け、その開閉量を計測し、あらかじめ重量を測定しておいた10tダンプトラックを走行させたときのデータと比較して軸重を算定する方法です。さまざまな路線の橋梁で24時間計測を行ったことが、今でも懐かしく思い出されます。
入社後の約10年間は、主に現場での施工管理業務に従事しました。その間、橋梁関連の仕事に携わる機会が多くありました。新入社員として最初に配属されたのは高速道路の延伸工事で、切土・盛土が主体でしたが、付け替え河川の橋梁や跨道橋の新設にも取り組みました。
次に担当したのが、京阪電鉄の2営業線が立体交差する前島跨線橋(L‖65メートル)における、騒音対策を目的とした橋桁の改築工事です。ここでは、初めて監理技術者として現場に携わりました。既設の鋼製箱桁(馬桁)をPC桁へ改築する工事で、既設桁を2分割して撤去し、それと同時に工事桁(6径間)へ一旦置き換えた後、工事桁からPC桁に架け替えるという工程でした。PC受桁上にPC縦桁を載せる特殊な構造であったことに加え、鉄道営業線直上での夜間停電作業・破線作業となるため、綿密な施工手順の策定や工程管理、電気・軌道工事との作業調整が求められました。結果として、騒音はピーク値で17dB、等価騒音レベルで4dBと大幅に低減することができ、地元住民の皆様から大変喜んでいただいたことを鮮明に覚えています。
続いて担当したのは、阪神電鉄青木駅の東灘連続立体交差化工事です。副所長として、仮線方式による高架事業に従事しました。槽状桁の工事桁や、本設としてのH鋼埋め込み桁、セグメント方式によるPC桁の架設を行いました。営業線のすぐ近くで、旅客が常に乗降する駅舎を高架化する工事でもあったため、旅客動線を確保しながら、安全最優先で工事を進めました。この現場には6年間在籍しましたが、工事の途中で異動となり、竣工の瞬間を見届けられなかったことは、今でも少し心残りです。
異動先の土木技術部では、現在まで設計、施工支援、営業支援、技術開発など、幅広い業務に関わり、近年は学協会活動に参加する機会も増えました。災害科学研究所の研究会には、恩師である松井繁之先生も参加されており、先生は今も変わらず床版への情熱を持ち続け、精力的に活躍されています。また、床版取替工事で用いられるPC床版の継手構造に関する技術開発では、試験方法や疲労耐久性の評価方法について、先生から丁寧なご指導をいただきました。そのお姿に触れるたびに、身が引き締まる思いがします。私自身も先生をはじめ諸先輩方の姿勢を見習い、「生涯エンジ二ア」を目指して、一土木技術者として微力ながら社会に貢献していきたいと考えています。
次回は、災害科学研究所の社会基盤維持管理研究会で長年大変お世話になっている、富士技建の水内將司様にバトンをお渡しします。

愛知製鋼