
九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所は、鹿児島港の南北二つのふ頭を接続する臨港道路(鴨池中央港区線)の整備を進めている。事業期間は2017年度~30年度で、事業費は370億円を見込む。
臨港道路は、延長2・4キロの2車線道路で、そのうち1・1キロが海上の橋梁部となる。上部工形式は、起点側からPC3径間連続ラーメン箱桁橋(橋長289メートル、A1~P2)、鋼6径間連続合成細幅箱桁(橋長509メートル、P3~P9、鋼重約2700トン)、PC3径間連続ラーメン箱桁橋(橋長307メートル、P9~A2)の3橋で構成。下部工形式は場所打ち杭基礎(橋台)と鋼管矢板基礎(橋脚)。
工事は、海上部の鋼橋から施工が進められている。現在までに下部工P3~P9の橋脚7基が完成済みで、7月7日から鋼橋の上部工架設工事に着手した。同港南ふ頭のヤードで地組みされた鋼桁(長さ約80メートル×幅約8メートル×桁高約3メートル、重量約530トン)を、大型海上機重機船「大和」(定格荷重700トン)で吊り上げた状態で運搬し、P3~P4に一括架設を行う。架設は全部で6回、1カ月かけて実施される。
海上橋となるため多くの塩害対策が実施されている。鋼橋に対しては主桁にアルミニウム・マグネシウム合金溶射(150メートル)の工場塗装に加え、現場でふっ素樹脂塗料系(中・上塗り55メートル)の高防食を実施。また、橋脚の鉄筋はかぶり90ミリを確保した上でエポキシ樹脂塗装を施している。
PC橋ではPE被覆型ECFストランドやECFストランド、プレグラウトタイプのエポキシ被覆鋼材などを採用しているほか、上部工鉄筋はかぶり70ミリを、橋脚はかぶり90㍉を確保した上で、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。
設計は日本工営、上部工施工がJFEエンジニアリング(P3~P6)と川田工業(P6~P9)。下部工施工はみらい建設工業(P1・P6)と東洋・本間特定JⅤ(P2)、五洋建設(P3・P5・P7)、りんかい日産建設(P4・P9)、不動テトラ(P8)、東洋・本間特定JⅤ(P10)、若築・吉田特定JⅤ(P11)。
今後の予定は、PC3径間連続ラーメン箱桁橋(橋長289㍍、A1~P2)、PC3径間連続ラーメン箱桁橋(橋長307メートル、P9~A2)の2橋の施工を行い、30年度の完成を目指す。
臨港道路(鴨池中央港区線)の開通により、鹿児島港内の円滑な港湾物流の確保による輸送時間の短縮や安全性の向上、人流の円滑化などの整備効果が期待される。
鹿児島港湾・空港整備事務所提供写真