コメの価格高騰で、世の中が大揺れに揺れていた5月の下旬、自民党の森山裕幹事長は「田んぼはミニダムの役割をはたしている」と発言した▼いわゆる『田んぼダム』は、2002年に新潟県村上市が全国に先駆けて取り組んだ事業で、多くの自治体でも同様の取組みが実施され、23年3月時点で33道県の計7・4万ヘクタールにまで拡大している▼技術的にはシンプル、水田の排水桝に、堰板や小さな穴の開いた調整板(流出量調整器具)を取り付けるもので、流量を調整する穴の口径は、一例だが通常の15センチ程度を3分の1以下の約4センチにしておく。これだけで大雨時に水田からの排水量を抑え、水路や河川の急激な増水を防止する▼ところで6月22日、イラクの3個所の核関連施設にアメリカ軍が攻撃、特に地下80メートルにあるフォルドゥのウラン濃縮施設には地中貫通爆弾、いわゆるバンカーバスターが14発も落とされた▼こちらもいたってシンプルだ。13トン超の大重量の爆弾を高高度に運んで落とす。超音速で落下した硬い外殻の爆弾は地表から60メートルを貫通し、そこで爆発する▼シンプルを売りに全国に広がった1枚の薄い調整板は水害を防ぎ、持ち上げて投げ落とすだけのやはりシンプルで武骨な爆弾は無差別に人を殺す。