連載小説「錦雲燭日」あらすじ
岩国藩三代目藩主·吉川広嘉は、毎年のように氾濫する錦川に頭を悩ませていた。
初代、二代目藩主の頃から幾度となく橋を架けてはいるものの、いずれも夏の嵐を乗り越えられず落橋。錦川は岩国藩における防御の要だが、そこに橋がなければ藩は致命的に分断されてしまう。ゆえに流れぬ橋の建設は急務であり、かつ一国一城令によって理不尽に城を奪われた岩国にとって、誇りを取り戻すための戦いでもあった。
隠居を決めた二代目藩主·広正から悲願を託された広嘉だったが、画期的な橋の案が浮かぶこともないまま、自身に巣食う病にも苦しめられ、錦川への橋の創建は窮地に陥っていた。
そんな折、医師として招かれた禅僧·独立が彼の運命を大きく変えることになる——。
壮絶な天災に立ち向かい、名橋「錦帯橋」を架けた熱き男たちを描いた歴史小説。