国際政治の動向がこれほどまでに日本の建設業界と直結していると実感する時代は、かつてなかった▼国際情勢の不安定化が進む中、インフラは平時の社会基盤であると同時に、有事における国家の生命線としての性格を強めている。高速道路や港湾は物流や防衛、災害対応を支え、ダムや上下水道は社会機能を維持する根幹を担う。通信や電力もまた、自然災害やサイバー攻撃への耐性が問われ、老朽化対策や強靱化事業は、もはや「防衛投資」と言って過言ではない▼一方で、ウクライナ戦争や中東情勢は、資材価格やエネルギーコストの高止まり、調達リスクの拡大として建設現場を直撃している。さらに国際政治の分断は技術分野にも及び、国産技術や国内サプライチェーンの重要性が再認識される中、「技術とデータは国家競争力の一部」との認識が広がっている▼人材問題も例外ではない。労働力不足や技能継承、外国人材の受け入れは、国内課題であると同時に国際関係や移民政策と深く結び付くテーマだ▼いま国際政治が建設業界に突き付けているのは、インフラとは公共事業にとどまらず、「国家の持久力そのもの」であるという現実にほかならない。インフラ整備事業の重要性、その要素が一つ追加されたと認識すべきだ。
