吾唯知足2026年2月1日号掲載分

吾唯知足 橋梁は国土の「要」だ。現在進む国土強靱化基本計画は、われわれ橋梁に携わる者にとって極めて重要な指針だ▼強靱化計画を読んでみると、さらなる進化への「伸び代」も見えてくる。基本理念には「強靱な国づくり」と心強い言葉が並ぶが、実は「どの程度強靱にするか」という具体的な数値目標がまだ定義されていないのだ▼現場が注視する橋梁の耐震化率などの成果指標(KPI)は、着実な歩みを示す「手段」として機能している。今後はこれに加え、対策によって国全体の災害損失をどれだけ減らせるかという「目的」そのものの指標化がおおいに期待される▼リスク評価に「発生確率×損失額」の期待値モデルが導入されれば、橋梁整備の投資効果はさらに明確になるだろう。耐震補強の一手が将来の損失をいくら抑制するか。これを数値で語ることはインフラの価値を社会に再認識させる絶好の機会となるはずだ▼災害を恐怖の物語で語るのではなく、確率とコストに基づき最適解を導く工学的プロジェクトへ。災害科学・土木工学、金融・数理統計学、政策学・国際経済学、インフラ管理の専門家が知見を出し合い、数値で裏付けられた確かな未来を設計する。それこそ、真に強靱な国土への最短距離だと信じている。

愛知製鋼