三位一体と人の繋がり

青木 康素阪神高速道路株式会社
技術部 技術推進室
青木 康素

私が橋梁技術と初めて接点を持ったのは、大学の研究室配属の時です。指導教官であり恩師でもある松井繁之先生のもと、道路橋床版・床版防水・橋面舗装について勉強をしました。床版の疲労と水の関わり、床版防水が必須であること、それは舗装と一体となって効果を発揮する必要があること、これらの「三位一体」が重要であることを学びました。
その後、阪神高速道路の民営化一期生として入社し、高速道路橋の設計・施工・維持管理に従事しています。社内では2~3年程度で異動があるのですが、振り返ると20年の社歴で8割が設計に関連する部署となっています。
入社3年目の現場監督員時代には、阪神高速湾岸線の中島川橋梁・神崎川橋梁というバスケットハンドル型ニールセンローゼ橋2橋の耐震補強の設計・施工を担当しました。初めて実務設計とそれを基にした現場施工に従事し、橋梁メーカーの設計・施工者と議論を積み重ね、海上での施工のために関係機関と何度も協議を行い、補強構造を実現したことに大きな感慨があったことを記憶しています。
2015年より土木研究所へ出向する機会があり、主に鋼橋の疲労、支承の耐震関連の研究に従事しました。当時、限界状態設計・部分係数設計の導入が検討されており、道路橋示方書の改定に携わりました。この時期に過去の規定根拠や既往の研究知見の整理、AASHTO LRFDなど諸外国の基準規定の調査、それらを踏まえて日本の設計基準をどのように定めるのか、時には深夜までの議論を通じて多くの学びを得ると共に、土木研究所や国総研の方々と知り合うことができたことは大きな財産となりました。
直近の建設事例では、大阪・関西万博へのアクセスルートとして活用した阪神高速淀川左岸線の豊崎IC(仮称)の橋梁設計を担当しました。国道423号(新御堂筋)の既設橋梁へ供用下で剛結にて接続する鋼床版箱桁橋や淀川の河川堤防上に橋脚を配置する構造(河川構造令でいうピアアバット)などの特殊な構造を設計したこと、万博開催までの限られた時間の中で設計・施工を実現できたことが、大変印象深い出来事でした。
振り返ると自分の専門性とは何か? について考えます。学士・修士の研究は「道路橋床版、防水、舗装」、入社してからは「鋼構造の疲労・防食・耐荷力、舗装、防水」、博士研究は「鋼構造と接着剤」と勉強・実践してきたように思います。どちらかというと支承より上の橋梁構造が専門と言えるのかもしれません。
各分野での学識・有識の方々との出会いと技術的な議論・情報交換がありました。どれも自分を成長させてくれた貴重な経験であり思い出だと感じます。自分一人の技術力や影響力は小さくとも、人の繋がりは大きな知識・経験に繋がり、何かを成す時に大きな力や支えになる広義の技術力とも呼べるものではないでしょうか。学生時代に学んだ「三位一体」と社会人として経験した「人の繋がり」、共に核心は同じところにあるのかもしれません。まだまだ勉強途中の若輩ではありますが、後輩には人との出会いや繋がりを大切にして欲しいと思っています。
次は、20代の頃から大変お世話になっている川田テクノロジーズの街道浩様にバトンをお渡しします。

愛知製鋼