橋を守る仕事のこと

生田 孝廣

山王株式会社
取締役
生田孝廣さん

文系出身の橋梁技術者として現在は、熊本県熊本市内の橋梁耐震補強工事の監理技術者として勤めている。
法律系の大学を卒業したのち、現在の山王の前身、山王道路施設天草営業所で営業兼工務担当として入社し、建設・橋梁の世界に飛び込んだ。
当時は道路附属物の営業・見積りをする傍ら、一部橋梁のジョイントや高欄の取替工事などを担当していた。
転機になったのは、30年前に発生した阪神・淡路大震災。それを機に全国的に橋梁の耐震補強について注目が集まっていった中で、県内の補修工事も年々多くなっていたことから、橋梁補修工事に携わることも比例して増えていった。
近年担当した工事の中でやりがいのある工事であったのが、JR鹿児島本線の近接工事だった。その工事は鉄道が走る都合で夜間の工事になる上、作業時間が少ないことがネックだが、発注者との入念な打合せが段取り良く進めるための、重要な鍵であった。また現況の橋梁舗装が通常では考えられないほどの破損状況だったことから、東京から取り寄せた探査機を走らせて、舗装下面の調整コンクリートの一部が悪影響を与えていたことを発見し、それを剥がした上での、舗装工事にも尽力した。
結果的に、工事も無事故無災害で終えたほか、補修した舗装面も現在も傷んだ様子はない。それに加え伸縮装置の劣化した伸縮ゴムを取り替える自社工法「SMジョイント」を導入するなど、社内外で大きな貢献を果たすことができた。
現在工事を担当している橋梁も緊急輸送道路に指定されている。災害直後でも安心して渡れるような橋を維持することが、橋梁補修業界の役目だ。そういった橋梁以外でも、県内の橋梁を少しでも長く、安心して使えるように、交通インフラを途絶えさせることが無いように、これからも守り続ける。
熊本県天草市出身。 (塩野耕生)

愛知製鋼