「新設からメンテナンスの世界へ」

山内 昌有限会社オオブ工業
常務執行役員
山内 昌

早いもので建設業に携わるようになって40年が過ぎました。 小学生の頃図工の時間に木材で橋の模型を造る授業がありました。私は、トラス橋とアーチ橋が混ざったような怪しげな橋を造りました。 スマートではありませんが非常に強固な構造物になったと思います。その頃から「ものづくり」に興味はあったように思います。 それから時が過ぎ、大学は土木工学(山梨大学)を選択し卒業後、ゼネコン(森本組)に入社し建設業の世界に足を踏み入れました。 学生の頃あまり熱心に勉強しなかった私ですが、社会に出てからは、施工に興味を持ち、構造物が少しずつ出来上がっていく様子に達成感を感じることができました。 建設の仕事は私と非常に相性がよかったと思います。 特に現場を進める上で、工事が進んで行く未来をイメージする想像力が重要だと気付かせていただきました。 転機になったのは、ゼネコン入社20年後です。これからの建設業はメンテナンスが主流になると考え、20年間勤めていた会社を退職し構造物の補修会社(ケミカル工事)の門を叩きました。 同社(ケミカル工事)においては様々な構造物の劣化調査・診断・補修補強に携わらせていただきました。それまでは、コンクリート構造物は造ったらほぼ永遠に壊れないと思っていました。 構造物の調査点検に携わるようになり、橋梁の床版下面の多くの網目状の疲労ひび割れを見て衝撃を覚えました。 自分たちが当たり前に使っているインフラが、現実には非常に危うい状態で供用されていることを思い知らされ、自分が関わっている仕事の重要性を再認識しました。 補修工事業務の中では、床版補修については、WJ工法による床版はつりの工事に長く関与させていただきました。 静岡県の天竜川の橋梁床版の補修工事ではWJロボットによる床版はつりを施工しましたが、その時の経験がその後の私の橋梁床版補修のベースになったと思います。 また、東海地域の様々な構造物の劣化(塩害、ASR、疲労等)や初期欠陥を見る機会に恵まれ、その経験はコンクリート診断士としての活動に非常に役立ちました。 構造物の補修補強に携わる過程で東海コンクリート診断士会に入会させていただき、昨年5月まで約10年余りの期間、診断士会の幹事を務めさせていただきました。 その会の活動を通じて多くの素晴らしい方々と出会うことができました。今回、橋歴書のバトンをいただいたショーボンド建設の谷岡様もそこでのご縁です。 現在は、ゼネコン時代にお付き合いのあった専門工事会社(オオブ工業)にお声をかけていただいて、会社の仕組みづくりや人材の育成などをお手伝いさせていただいています。 今後、当社の社員含め建設業に関わる人財の育成に少しでも貢献できれば良いと考えています。 今回このような機会をいただけたことに感謝いたします。 私からは、共に東海コンクリート診断士会幹事を務めさせていただいた丸ス産業の加藤十良様をご紹介させていただきます。

愛知製鋼