作る楽しさ、そして充実感

河西 臣

株式会社飯塚工業
土木部 企画課長
河西臣(じん)さん

2005年4月入社。 現在、国道20号に架かる法雲寺橋の架替工事のため監理技術者として山梨県大月市内の現場に出る。 法雲寺橋は2019年10月に、関東、甲信、東北を中心に全国に大きな被害をもたらした「令和元年東日本台風(台風19号)」によって橋脚の一部が沈下、複数の桁が傾斜し通行止めとなった。生活に不可欠の幹線道路の通行止めで、地元住民が陥った苦境を知る地元企業として、他社に先駆けて、緊急復旧工事の計画を立案しプレゼン、発注者側からも、その熱意を認められた。「39日間で936時間、昼夜の施工計画を立てています」。復旧工事は時間との勝負だが、二次被害は絶対に出せず、安全性には特段の配慮が必要。「その上、法雲寺橋は1959年の竣工です。被災した時、既に老朽橋の域に達していました。応急橋とはいえ、当時の設計思想で作られた橋をいかに、現在の設計思想の橋として復旧させるかが課題でした」 施主や設計者との連携が功を奏し、かつ住民の協力もあり、計画通りに復旧は完了、交通開放された。その後、新橋への架替事業が決定した際は、下部工や仮設歩道橋の施工を担当することになり、現在に至る。 業界に付きまとう3Kイメージを払しょくし、次世代の担い手を呼び込むためにも技術の底上げは不可欠と痛感するそうだ。「かつては3D測量や3Dデータ作成などはアウトソーシングでやっていましたが、今は9割以上を社内内製化しています」。ICT施工での床掘や地盤改良工にも意欲的だ。 大学では土木とは無関係の学部で学んでいる。それが土木の世界に身を投じることになったのは現場でのアルバイト体験がきっかけという。「皆が一丸で作る楽しさ、そして完成した時の充実感と達成感、それは今でも変わっていません」 山梨県中央市出身。39歳。(川村淳一)

愛知製鋼