吾唯知足2018年9月11日号掲載分

吾唯知足
猛暑が連日続いた今夏、「夏終(なつじま)い」とでも言うべき、所謂「処暑(しょしょ)」の8月23日を過ぎても一向に暑さは落ちつくように思えない▼9月に入るも残暑は厳しく、雷雨、豪雨、洪水、台風さらには地震の発生に至っては「夏終い」ができない人は多いだろう。気候異変を遥かに凌駕する異次元気象の昨今だからこそ、また別の視点に立ち、気持ちを切り替えてみたい▼まずは、人は中身より、外見を磨いてこそだ、とつくづく思う。これは橋の外見(人で言えば言葉遣い・行動など)を目視することで、劣化、老朽化を知ることに譬えられるだろう▼この仕事をしていて、残念かつ反省するのが「どうして、あんな記者を取材に寄越したのか」と取材先に言われた時だ。中身のある記者と信じればこそ、外見の重要さを指導し損ねたかと▼かつて昭和50年代初期、河童(かっぱ)が陸(おか)に上がったようなものと揶揄された重工メーカーは(謙遜をこめて)「専業と比べられると困るよ」と言ったものだが、やがて専業を上回るほどの外見(風格)と中身(技術)を披瀝し、今日に至っている▼企業そして人もまた、それに見合う外見を目指す責と任があのは当然、その苦闘こそが中身を向上させるはずだ。

愛知製鋼