吾唯知足2019年12月1日号掲載分

吾唯知足いよいよ師走を迎え、年が明けた夏には2020東京五輪が始まる。しかしこれが、東京五輪なのか、札幌五輪なのかすっきりしない▼はだしのマラソンランナー、アジスアベベ(エチオピア)が、世界に与えた感動、認知度を抜きには語れないほど、マラソン競技は五輪のイメージそのもので、五輪の花形、メイン競技であることは言うまでもない▼それをいとも簡単にIOCの鶴の一声で、開催地が札幌に変更された。これはもう、五輪そのものが変化していく序章かと▼前回の東京五輪(1964年)は、戦後復興のあかしとして非常に大きな意義があった。新幹線や東名高速道路が建設され、その余勢で、大阪万国博覧会や本四架橋プロジェクトが始動するなど、波及効果が次々と具現化し活況を呈した▼果たして、2020東京五輪は世界に何を発信しようとしているのか。いや、東京の夏は暑いといっても、プロのアスリートはそれに耐えうる科学的なトレーニングを積んでいる▼東京でマラソンが開催され、巨大なビル群の中で美しく整備されたマラソンコースと、街を疾走する選手たち、沿道から応援する無数の観客の姿が世界に発信されたら、どれほどの反響があるか、「逃した魚は大きかった」となることは想像に難くない。

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