吾唯知足2021年5月11日号掲載分

吾唯知足先月25日から東京や大阪など4都府県で3度目の緊急事態宣言が始まったが、新たな変異株も出現しコロナ感染拡大は歯止めがかからない。一方で、東京オリ・パラの開催も間近に迫り、実施に向けた具体的な対応を巡る組織委員会と開催都市・東京都との足並みを見るたび、「本当にこのまま開催するのか」と杞憂する▼それ以上に心配のタネは「防災・減災」のカギとなる今後のインフラ投資の見通しだ。政府は国土強靱化策に5年で約15兆円の予算を見込むが、コロナ禍対策のための補正予算はすでに3回。感染防止対策や生活支援など各種支援事業費とするものの、椀飯振舞にみえてならない。財政の悪化はインフラ投資にも影響するだけに危惧される▼もちろん、長期化・多様化するコロナ禍で財政が悪化しているのは日本だけではあるまい。しかし、国の借金が国内総生産に占める割合は、米国や英国などの先進国と比べ日本は最も厳しいとみられる。いずれそのツケを払うことになろう▼緊急事態宣言が不発に終われば、3度目の登板となるかもしれない安倍前総理の手腕に委ね、財政再建とも合わせ、突き進むことになるのか。いずれにせよ、ひっ迫する財政の早めの巻き返しに向け、かつての政治・経済への復活が課題だ。

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