新設現場から維持管理の現場へ

門平顔写真
㈱ネクスコ東日本エンジニアリング
高崎道路事務所 高崎施工管理課長 門平 篤志

私のような若輩者がこのコーナーを担当させていただくことに不安な思いはありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
私の小さいころを思い起こしますと、ものつくりの好きな父親の影響が色濃くあり、小学校夏休みの自由研究では大人が寝そべることができるデッキチェアを製作したりと、子供にしては大きなものを作り、大変な思いをして小学校まで運んだ記憶がよみがえります。
その後は自動車に興味を持ち、山形大学工学部で機械関係の学科に進み、比較的小さな形状のものが多い歯車のことを中心に勉強をしました。研究室の教授から「就職先は共同研究を行っている自動車関係の会社を紹介することもできるぞ」とおっしゃっていただいたのですが、いくつか面接を受けていた中のPC専業者である安部日鋼工業(入社時?:?安部工業所)に入社させていただきました。
大学の専攻とは畑違いなところではありましたが、面接を受けた際の「この仕事は地図に残る大きな仕事だぞ」との部長のきめ台詞に、子供のころになんとなく感じていた「大きなものをつくりたい」の思いが再燃し、この橋梁業界へ足を踏み入れました。
安部日鋼工業では主に現場を担当し、橋梁新設の施工を担当しました。経験年数が増えていくのに伴い、現場担当から現場代理人、監理技術者と担当する内容も変わっていきましたが、橋梁という大きな構造物が出来上がっていくことに変わらぬ喜びを感じておりました。
特に、山梨県内での現場に携わることが多く、中部横断自動車道のPC橋梁工事(JH)、国道52号線バイパスの鋼橋PC床版工事(国土交通省)、リニア実験線延長工事(JRTT)では制約条件の多い中、トラブルもありましたが工夫を重ねながら現場を完成させることができました。安部日鋼工業をはじめとするご関係の皆様には大変お世話になりました。
現在、縁ありましてネクスコ東日本エンジニアリングに入社し、まずは橋梁を中心とした構造物の詳細点検を担当しました。そこでは橋梁床版の疲労劣化、桁端部の塩害による損傷等により、供用年数が多い路線を中心に適切な維持管理が必要であり、メンテナンスフリーなものなど存在しない現状を目の当たりにし、橋梁の新設現場とのギャップに衝撃を受けました。
その後、橋梁を中心とした構造物の調査・補修設計の業務を担当し、その中で上信越自動車道碓氷橋のPC2径間連続斜張橋の特別調査の業務を行いました。これはNEXCOの保全点検要領の改訂に伴い、特別調査を実施し、学識経験者の方々を中心とする検討会にてアドバイスをいただきながら維持管理マニュアルを作成する業務でした。
特に斜張橋という構造上、斜材ケーブルの損傷が発生した場合、橋梁全体に対して重大な影響を与えることが考えられるため、現行の荷重系を用いて斜材ケーブルの張力変動に対して主塔や主桁がどのような挙動を示し、どのような応力状態になるかを検討し、維持管理マニュアルの中で斜材ケーブル損傷発生時の対応案として取りまとめることができました。ご関係の皆様大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。
この10月より橋梁補修現場の施工管理の業務を担当させていただくこととなりました。橋梁の新設現場での経験を生かし、橋梁の適切な維持管理の一端を担えるよう、より一層の技術力向上の目標に向かって研鑽を重ねます。
次は橋梁のPC鋼材調査でお世話になりました、日本ピーエス 技術本部 濵岡弘二本部長様にバトンをお渡しいたします。

愛知製鋼