日々学びながら

伊藤 拓ドーピー建設工業株式会社
技術部北海道グループ課長
伊藤 拓

東北出身の私が、1997年に大学を卒業後ドーピー建設工業に入社し、北海道勤務の辞令を受けて以来、21年が経過しました。その間、応援で数カ月北海道を離れることはあったものの、一度の転勤もなく現在に至っております。  入社時は設計部署に配属されましたが、当時部署内でポステン部門とプレテン部門に別れており、私が配属されたプレテン部門では、10人程のスタッフが各自週1橋ペースで設計を仕上げる位多忙な日々でした。 3年目には当時の日本道路公団発注の北海道縦貫自動車道シラリカ川橋で設計スタッフの一員として従事することとなりました。 この橋梁は全支保工施工の3径間連続ラーメン箱桁橋で、全外ケーブルを採用した一般的な橋梁形式ではありましたが、上部工コンクリートに高性能軽量骨材を寒冷地の道路橋で初めて適用しました。そのため設計の他、試験練りやマスコンクリートの実物大供試体試験、実橋の温度管理など、施工にも深く関わったことを覚えています。この時の経験や苦労は、業務を行っていく上での根幹となっております。 その後、張出し架設工法の詳細設計や施工時検討など携わる中、仙台市の北四番丁大衡線に架かるPC2径間連続波形鋼板ウェブエクストラドーズド橋の施工検討を担当しました。 エクストラドーズド橋を全支保工にて施工するため、地盤バネや支保工バネに鉛直方向のギャップ要素を用いた上げ越し計算や、斜材の緊張管理のための予備計算など、諸先輩や上司の指導を仰ぎながら何度もやり直したことは、印象深く残っています。 弊社は北海道内に2工場を構えていた事もあり、工場製品にも多く携わりました。PC技術を利用した水路や防災構造物のシェッド・シェルター、延伸成形のポールやパイル、建築部材の柱や梁部材、PCタンクの側壁・屋根部材などです。 変わった部材を製作する際には、その都度工場へ行き、工員さんとも打ち合わせながら一緒に製品を作って来ました。そこで、部材製作時の制約や運搬・架設の規制、製作の効率化を図るための思慮など学ぶことができ、現在のプレキャスト化を推進する上で、大きく役立っております。 印象に残る現場としては、2010年にNEXCO東日本発注のトンネル防雪工事です。トンネル坑口にスノーシェッドやシェルターを構築する工事で、主に場所打ち杭の現場管理を担当しました。真冬には-20℃にまで下がる過酷な現場でしたが、様々な難関を一つずつ解決しながら施工を進めて行ったことの方が記憶に残っています。 もともとPC橋梁をメインに施工する会社ですので、場所打ち杭の施工に関するノウハウは多くありません。既製コンクリート杭の施工知識や下請け会社さんの協力を受け、考え・悩み・協議しながら何とか無事に施工することができました。 近年はNEXCO発注工事の詳細設計に関わりました。中でも川田建設さんとのJV構成員として参加した2物件では打合わせを進めていく中、自社との進め方の違いや刺激と発見で多くを学ばせていただきました。 現在は、北海道での大規模更新工事で管理技術者として詳細設計から施工まで携わっております。自分で設計し施工にも携わることで、自分がまだまだと思うことも多々あります。  今後は、これまで自分で見聞きし、感じ、学んだ経験を次の世代にも伝達し、現場に即した技術者育成にも注力していきたいと考えております。 次回は、NEXCO物件で大変お世話になった、株式会社エイト日本技術開発の鷲見英信様にお願いします。

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