劇的に改善する何かを

小林 大
大日本コンサルタント株式会社
インフラ技術研究所 調査研究部
保全エンジニアリング研究室 主任研究員

小林 大さん 物理と数学が大好きな高校時代を送り、母の知人の農学部教授に影響を受け農学部に進学、索道、林道、砂防ダムなど学んだ。卒業後は「なぜか商社マン」に。バブル時代の自動車業界を垣間見、その後、橋梁に係る設計会社を経て、平成10年に大日本コンサルタントへ。「エリート橋梁技術者とはほど遠い野良技術者です」。

入社後は、新設橋の計画・設計業務に携わり、ほどなくして、既設橋の耐震補強、メンテナンス業務を担う保全部門に配属。

現在は研究所に所属するが、自身で「現在の研究開発に携わるうえでのマインドに大きく影響」していると感じる業務が二つある。

一つは、ある国道事務所で耐震補強方針検討のために、その時点での進捗状況を全て写真に収めたこと。この写真群が本来とは異なる目的として活用され始め、「ニーズがシーズを生み、新たなニーズを創出していく」体験をした。

もう一つは、木曽川大橋斜材破断事故に関する業務。事故発生から応急対策、補強まで、「最前線で経験することができ、橋梁メンテナンスの重要さ、難しさ、そして社会への影響の大きさを実感」したことだ。

現職は7年目。赴任早々にNEDO「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」橋梁点検用マルチコプタ「マルコ®」の研究開発担当となり、「紆余曲折」研究開発は進み、今では実用化段階に入った。橋梁点検ドローンに関する講習会も開いている。建設コンサルタントでは自前でいちから研究開発することは珍しく、また、「全くの新しい領域において、国と歩調を合わせた研究開発の実施、制度設計あるいは整備の過程を真近で見る貴重な経験」となった。

抱負を尋ねると、「橋梁点検のデジタル化の幕開けに、少しでも寄与できたら…。橋梁メンテナンスプロセスを劇的に改善する何か、に思いを馳せている」。

信州大学農学部卒。愛知県出身。53歳。

 

愛知製鋼