吾唯知足2019年11月1日号掲載分

吾唯知足 日本の橋は壊れない、落ちないという「橋梁神話」について、阪神淡路大震災時の大地震による阪神高速の橋脚(ピルツ橋脚)が破壊、倒壊した現場を徒歩で取材した時に書いたことがある。それ以来、小欄記者にとってこの語句は禁句となってしまった▼千葉県広域に被害もたらした台風15号を後追いするように、台風19号が上陸し、千曲川や阿武隈川など大河川による堤防の破壊や氾濫、洪水を引き起こし、激甚な大被害が住民を震撼、困窮に貶めている▼今後の調査・報告で新たな被害や状況が明らかになるかもしれないが、すでに上田電鉄の橋桁崩落、流出やJR両毛線、水郡線の橋梁流出などの被害が明らかになっている▼国交省などの調査、発表によると、10月19日時点で全国71河川130カ所で堤防の決壊が発生したという▼ショックをうけたのは、濁水で橋脚破壊された山梨・笹子川に架かる「法雲寺橋」(国道20号)の橋桁が真ん中で大きく沈み込むようにゆがんだ映像だ。また、「橋梁神話崩壊か」と▼しかし、ここは冷静になって、強靱な防災インフラ整備へ大きなかじ取りを考えることも一考かもしれない。通常より整備費が高くつくかもしれないが、これまでの被害を考えれば無駄とは言えまい。

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