吾唯知足2022年9月1日号掲載分

吾唯知足 橋梁など国の生活インフラ建設には事前に、十分な調査・研究が必要だ。遅まき、と言われても構わないから、岸田新政権が所信通り「新しい資本主義」に突き進むなら、アフリカのこうした調査・研究に、十分な手当てを至急、すべきだ▼先の小欄で、平成10年頃に立ち寄ったスリランカのコロンボ近郊の空港がまるで、土埃のままかと思われるほど、一帯の環境、景色は土色のごとく黄色だった、とその印象を書いた。現下、経済危機に瀕する同国のハンバントタ港における中国の一連の所作は、一帯一路に絡む「債務のわな」の典型例として知られる。アフリカでその轍を踏まぬよう、と▼折しも先月、チュニジアで開催された第8回アフリカ開発会議でチュニス宣言を採択、岸田首相は今後3年間で日本から官民300億ドル(約4兆円)規模の対アフリカ投資を目指すと表明した。ただ、アフリカ諸国では、中国が経済で、ロシアが軍事で関係を強めている▼日本の支援の柱は「アフリカ・グリーン成長イニシアチブ」に据える気候変動対策や新興企業の育成など。橋梁に目を向けると、かつてのザイール(現コンゴ民主共和国)のマタディ橋建設など、貢献した実績もある。こうした生活インフラの調査・研究の推進も希求する。

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