吾唯知足2023年5月1日号掲載分

吾唯知足 ▼瀬戸大橋の着工から開通に至るまでの期間、多くの人から思い出深い取材をさせて頂いた。本四公団坂出工事事務所の初代所長だった杉田秀夫さんもその一人▼既に鬼籍に入られて久しいが、瀬戸大橋の歴史を紐解けば、杉田さんについて言及する文章には容易に接することが出来る▼取材にご協力いただいた当時、健脚をもって鳴らす杉田さんは、記者がマラソン好きと知ると、香川県琴平町の金刀比羅宮で開催される『こんぴら石段マラソン』に参加したことを楽し気にお話しされた▼瀬戸を跨ぐ巨大な橋、その基礎部もまた桁外れ。海中に巨大なケーソンを設置するためには水中発破や海中掘削が必要だった▼専門のダイバーはいるが、すべてをダイバー任せにできず、杉田さん自ら酸素ボンベを背負って海中の調査に乗り出していく▼場所によっては水深50㍍に及ぶ海中に潜っての過酷な作業に耐える体力を養うため、通勤の往復には自転車を使ったという逸話は知る人ぞ知る話、まさしく健脚であるのも頷ける▼取材で現地に伺った際にも、今まさに水中調査を終え海から上がったばかりの杉田さんをお見かけしたことがある。金刀比羅宮の785段と言われる参道を駆け上がる杉田さんの雄姿も見てみたかった。

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