吾唯知足2024年3月11日号掲載分

吾唯知足 秋田県東成瀬村に建設中の成瀬ダムは、国内でも最大級の台形CSGダムとなるそうだ▼台形CSGダムの利点は掘削ズリなどの現地発生材、河床砂礫、段丘堆積物、風化岩などの比較的容易に入手しやすいものが原材料に使える点、またダンプやトラック、ブルドーザなど汎用性の高い重機で施工できる点など挙げられる▼成瀬ダムで特筆すべきは自動化施工システム「クワッドアクセル」が導入されていること。無人の大型重機が自律的に作業する光景はさぞ壮観だろう▼クワッドアクセルは、月面に構造物を建設する際にも有用な技術として、研究が進んでいるという▼月面と言えば、今年1月20日未明にピンポイント着陸に成功した無人探査機「SLIM」の成功には大いに沸き立った▼想定した姿勢での着陸が出来ず、太陽電池パネルに太陽光が当たらず活動を休止。地球上のわれわれはやきもきしたものの、太陽の向きが変わり充電に成功、活動を再開した▼送られてきた画像を見つつ、無人の重機が月面を動き回る未来に思いを馳せてみる▼新年度が近づき、建設業界を担う土木技術者の卵たちが未来への助走に入る時期、彼らが夢を抱き、その本領を発揮できる社会をいかに整えるかが、われわれの課題だ。

愛知製鋼