百聞は一見に如かず

木藤 幸一郎

日本交通技術株式会社
鋼構造部長
木藤 幸一郎さん

大学の工学部在籍中に、構造物などの設計や施工に携わる技術者としての道を志し、1980年4月に松尾橋梁(現IHIインフラシステム)に入社。設計、工事、補修・補強部門に所属し、主に新設橋梁架設や、補修・補強工事の施工計画、積算などに従事する。 その後、2008年10月に日本交通技術へ転職。橋梁建設の最前線で習得した長年の知見を生かし、現在所属する鋼構造部では、北海道新幹線や北陸新幹線の橋梁設計、主要駅の利便性向上のための改築設計、既存構造物の耐震補強設計など、主に鉄道関係の鋼構造物の設計業務を統括している。 将来の有能な技術者育成にも力を入れ、製作や施工に関する経験を補うため、工場や現場視察、点検業務に携わる機会を設けることで、施工や維持管理に配慮した設計の重要性も認識させる考えだ。自身で設計したものがどのように出来上がり、また供用後に、どのような変化が起こるのかを自身の目で検証し、次の設計に活かすことが重要で、まさにこれこそが「百聞は一見に如かず」と語気を強める。 東日本大震災後の三陸鉄道の被災状況調査や、ベトナムでのロシア製橋梁の視察では、長年の橋梁技術者人生の中でも貴重な経験となった。 数多くのインフラ事業とともに歩んだこれまでの人生を振り返り、建設業界の働き手不足が懸念される昨今、女性や高齢者、外国人の雇用など、多様な働き方の展開を見据えた環境の整備が重要と訴える。 特に今年はコロナ禍で、在宅勤務やWEB会議など、新しい働き方の一端を垣間見つつ、ICT技術の進歩とともに、土木業界にも新たな風が吹き始めていることに期待を寄せている。 趣味を聞くと、「やはりドローンは魅力的で、趣味も兼ねて飛ばしてみたい」と期待通りの回答を得た。 長崎大学工学部構造工学科卒。鹿児島県出身、62歳。  (本間俊行)

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