経験に基づく技術者人生

寿楽 和也

株式会社ドーコン
交通事業本部 構造部長
寿楽 和也さん

第二の故郷となる関西での橋梁設計を志し、大学卒業後、希望していた大手建設コンサルに就職。当時は長大橋のプロジェクトが多数あり、それらの事業に携われることに単純にやりがいを感じていた。しかし、一身上の都合により生まれ故郷に戻ることを決断、93年4月に北海道開発コンサルタント(現ドーコン)への転職を果たす。 30歳前後で経験した3本の斜張橋の設計では、市販のソフトが使えず、計算方法を自身で考え、一から設計する機会に恵まれた。また、兵庫県南部地震の直後であったことから、初めて設定されたレベル2に対する耐震設計も試行錯誤しながら取り組んだ。「当時はあまり意識しなかったが、それらの経験がその後の技術者人生に大きく役立っている」という。 初めての鉄道構造物設計となる広瀬川橋りょうでは、デザイン的に優れた橋りょうを選定する設計競技で見事に当選。詳細設計の権利を得て臨んだ業務では、設計後、施工管理業務で竣工までを一貫対応し、土木学会田中賞の栄冠を手にした。 昨年10月末の本社屋の火災では、部門責任者として迅速な判断と行動に心がけ、短時間で自部門の新事務所立ち上げと、速やかな事業の再開を果たしたことは、今後の人生にもつながる貴重な経験となった。 他者に自身と同じ価値観を求めない。自身の技術を謙虚に疑う。準備を徹底し、何事も自信を持って発信する。この3つは常に心がけていることだ。 一方、週末欠かさず続けるゴルフは、もはやルーティーンというべきか。ゴルフ場で見かける動植物が妙に気になり、「趣味ではない」と言いつつも、最近はゴルフ用の距離計測機を使って野鳥を観察しながら、鳴き声の違いやパターンを聞き分けるという離れ技にも取り組んでいる。 立命館大学理工学部土木工学科卒。岩見沢市出身、54歳。(本間俊行)

愛知製鋼