ものつくり大学
技能工芸学部建設学科 准教授 博士(工学)
秀熊 佑哉さん
元々学生時代は土木建築系ではなく機械系出身で、大学院も機械系分野の複合材料(FRP)を研究していた。前職である日鉄コンポジット(現・日鉄ケミカル&マテリアル)も産業用CFRPロール、パソコン筐体など機械系のFRPを作る一方で、入社してから土木建築用の補修補強用炭素繊維シートや樹脂なども製造・販売していることを知った。
転機となったのは入社してすぐ。NEXCOと川崎重工業、長岡技術科学大学とともに鋼に炭素繊維シートを貼る研究が始まったばかりで、鋼構造だったら適任だろうと、開発担当に就任したことだ。その研究を続けるうちに、炭素繊維シートを貼って社会インフラを補修・補強する技術に興味を抱いていった。
2013年にNEXCOがマニュアル(炭素繊維シートによる鋼構造物の補修・補強工法設計・施工マニュアル)を整備したが、一気には広がらなかった。自身で営業して、問い合わせが来たら設計し、現場指導にも行った。年間で1、2件だった適用件数が、今では数十橋に。補修だけでなく、橋自体を強くする補強にも使われるようになり、一般工法化してきたことを実感した。さらに橋以外への転用も進んでおり、送電鉄塔の補修にもこの技術が採用されるようになった。
大学教員という立場になって講演することが増えたが、その時最後に言うのが「夢はFRPの道路橋をつくること」。GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)でできた歩道橋はあるが、道路橋はまだない。FRPは樹脂と繊維を組み合わせていろいろな形のものを作ることができる。FRP自体で何かものを作る、その究極形が橋だ。耐熱性などの課題も多いが、材料面での工夫で乗り切れるところもあると思う。建築も土木もFRPを構造材料として、ものつくりをしていきたい。
滋賀県甲賀市出身。(塩野耕生)
