大阪工業大学 工学部
都市デザイン工学科准教授
今川 雄亮
大学受験を控え、何を学びたいか悩んでいたとき、小学生の頃に家族旅行で訪れた開通直後の瀬戸大橋をふと思い出し、「橋について学びたい」と考えたことを覚えています。橋は土木工学科で学べると知り、都会への憧れもあって大阪工業大学に入学しました。何となく選んだこの道でしたが、恩師・栗田章光先生との出会いにより、構造工学や橋梁工学への関心が明確になりました。特に、先生が専門とされた複合構造は、鋼とコンクリートの短所を補い長所を活かすことで、合理的で自由度の高い構造を実現できる点に魅力を感じ、導かれるように先生の研究室を志望しました。研究室に所属した2000年代は、高速道路を中心に鋼少数主桁橋や波形鋼板ウェブPC橋などの複合構造が本格的に実用化された時代で、ゼミ旅行で訪れた建設現場の見学は貴重な経験となりました。
大学院では「鋼・コンクリート合成桁橋の耐火性能に関する研究」に取り組みました。車両事故や失火による火災を受けた橋梁の安全性評価を目的に、加熱時および加熱冷却後の頭付きスタッドの力学特性に着目した実験を行いました。着任間もない大山理先生にもご指導いただき、何とか博士論文を完成させましたが、このとき将来ご一緒に働くことになるとは想像もしていませんでした。
博士課程を修了した2009年、「橋をつくる仕事」から「橋を守る仕事」への関心も高まり、フジエンジニアリング(現・NEXCO西日本イノベーションズ)に就職しました。入社後まもなく担当した業務は、鋼床版の疲労損傷に関する調査でした。数センチ単位でタイヤの通過位置を変えながら、トラフリブに生じるひずみや変形を詳細に計測しました。上司や同僚の協力を得て、調査計画の立案から計測装置の製作、データ整理まで一貫して取り組みました。当時の社長・杦本正信氏から学んだ「自ら考え、自らの手で実行する」という姿勢は、現在の教育理念となっています。
2017年、縁あって母校の大阪工業大学に着任しました。慣れてきた頃にコロナ禍も重なり、あっという間に5年が過ぎた2022年、学内の海外研修制度を利用してポーランドのヴロツワフ工科大学に半年間留学する機会をいただきました。複合構造を専門とするローレンツ先生の研究チームのもと、欧州で開発された新形式の合成桁について学びました。現在も交流を続けながら、日本への適用を目指した共同研究を進めています。
また、土木学会の小委員会をきっかけに、ものつくり大学の大垣賀津雄先生や関西大学の石川敏之先生らと「弾性合成桁設計の構築」に関する共同研究にも取り組んでいます。合成桁橋の床版取替えにプレキャストPC床版を適用する際、スタッドの配置が制約される条件下で、スタッドを減らしても適切な合成効果を確保する設計法の確立を目指しています。
まだ橋梁人生の折り返し地点にありますが、多くの方々との出会いに支えられてきました。これまでの出会いに感謝するとともに、これからの出会いも大切にして、この道を拓いていきたいと思います。
次は、日独橋梁シンポジウムでお世話になっている綜合技術コンサルタントの俵谷保男先輩にバトンをつなぎます。
