枠にとらわれない

エム・エムブリッジ株式会社
生産・技術部 設計グループ長
小西 英明

平成9年に三菱重工業に入社。会社は社名変更し、現在に至るが、一貫して技術者として会社を支えて来た。新設の設計だけでなく、桁製作の現場代理人や監理業務、また近年では保全業務も増えている

「補修や耐震補強は橋の状態、環境条件など様々な状況に応じた対策が必要です。綿密な調査に加え、想像力も要求される。それだけに面白く、やりがいがあります」

西宮港大橋は、252㍍の支間長を誇る国内最大級のニールセンローゼ橋、平成6年に三菱重工業ほか数社のJVによって施工された橋。翌7年、兵庫県南部地震に見舞われ取付部が落橋、W型の橋脚を損傷しながらも橋の落橋は防いでいる。会社の先輩らが汗を流したその橋の耐震補強を平成17年、担当した。「震災後に、どのように補修や補強がなされているか念入りに調査しました。今後100年、もたせるつもりで設計しています」と自信をのぞかせる。

橋梁メーカーの設計担当者として何より優先するのが、施工の安全と品質の確保。だからこそ現場にはできる限り顔を出す。反力の計算は十分だったか、機材は適切か、現場のパトロールも兼ね確認して歩く。

また自らも肝に銘じ、若手技術者には常々言うのが「狭い意味での設計という枠にとらわれるな」ということ。

「設計担当者は設計の事だけやっていればいいのではない。設計に始まり架設までの流れを理解する。そして現場では多くの作業員が汗を流している。それを知ってこそ生きた設計ができると思います」

大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了。46歳。大阪市出身。(川村淳一)

愛知製鋼