やりがいある仕事

金銅 晃久株式会社綜合技術コンサルタント
東京支社 構造Ⅰ部主幹
金銅 晃久

学生時代にやりがいがありそうな橋梁設計の仕事に就きたいと考えていたところ、恩師の勧めで綜合技術コンサルタントに入社し、21年目になります。特に自慢できるような橋梁設計はありませんが、印象に残っている業務についてご紹介させていただきます。 入社2年目、鋼6径間連続合成桁橋の上部工の詳細設計を担当しました。本体や付属物の検討から詳細設計、図面作成、数量計算、架設計画まで一式任せてもらいました。終電で帰る日々が続きましたが、自分の手で形にするという設計にやりがいを感じました。 鋼橋を専門に技術者人生を歩むものだと思っていたら、次の担当は、鋼7径間連続ラーメン少数主桁橋の下部工の詳細設計でした。鋼橋の設計は、大学で学んだ知識も役に立ちましたが、下部工設計に必要な保有水平耐力法、プッシュオーバー解析、動的解析、基礎の設計など全く知識が無かったため、一から勉強させてもらいました。若いうちに上下部工の詳細設計を一通り経験させてもらえたことは、私の大きな財産となりました。ただ、残念なことに、上記2橋は修正設計が行われ、日の目を見ることはありませんでした。  自分が設計し、完成まで至った初めての業務は、沢を跨ぐ橋長30m程度の鋼単純鈑桁橋の架け替え設計でした。上部工設計は特に問題ありませんでしたが、迂回路用仮橋の設計で失敗しました。現道取付部を仮設補強土で計画していたのですが、施工に際し、切土時の斜面安定の検討不足と、支持層が想定より軟弱であったことから、仮橋構造に修正することになってしまいました。苦い思いをしましたが、その分、完成した橋梁を見た時の感動は大きく、今でも忘れられません。 もう一つ印象に残っているのは、永らく使用されていなかった河口部に架かる人道橋(鋼4径間単純H鋼桁橋+RC単純床版橋)を、当該地区の再開発のために再利用した業務です。再利用に当たり、健全度調査や補修設計、耐荷力照査を行い、耐震性能不足の橋脚は、上部工の軽量化(床版取り替え)により補強を回避しました。既設のRC床版橋は、船舶による波しぶきの影響で桁下面の損傷が著しかったため、耐食性に優れるアルミ桁橋へ架け替えることにしました。その後、再開発事業者のもとで美装化の修正設計を行いました。舗装材料やデザイン高欄の検討、現地での高欄照明のライトアップ試験など、貴重な経験をすることができました。 この他にも、PC上部工、ニューマチックケーソン、耐震補強、詳細調査、橋梁点検など携わってきましたが、様々な専門分野があり、学ぶことは多く、やりがいは尽きません。今後、どれだけの橋梁に携われるかはわかりませんが、より良い橋梁を後世に残せるように努めていきたいと思っています。 最後に、これまで未熟ながらも様々な業務をこなせてきたのは、多くの方々にご指導いただいたお陰であり、この場をお借りしてお礼申し上げます。次は、大学時代の旧友である高田機工の谷一成さんにバトンを渡させていただきます。

愛知製鋼