メンテナンスで安心・安全を

竹渕 敏郎MKエンジニアリング株式会社
取締役
竹渕 敏郎

私の土木・橋梁との出会いは、1988年に群馬県立中之条高等学校農業土木科(現:吾妻中央高等学校環境工学科)への入学からでした。中之条高校では、毎週のように実施される測量実習や測量士の受験対策、三角測量の県大会等と、楽しく土木の基礎を学ばせて頂きました。 1991年に国家公務員となり、東京工業大学土木工学科に文部技官として採用されました。その年は、3人の新人文部技官が配属されたのですが、一番成績の悪い私の配属先は、土木工学科で一番若い教授の三木千壽先生(現:東京都市大学学長)の下となったと、後にご本人より伺いました。東京工業大学では、助手として従事されていた舘石和雄先生(現:名古屋大学教授)や、学生として在籍しておられた穴見健吾先生(現:芝浦工業大学教授)を始めとした皆様のご指導の元、学生実験の準備や先生方の資料作りのお手伝い等に従事しながら、3連ジャッキを用いた大型疲労試験など、鋼床版の疲労損傷等に関わる各種の研究に参画させていただきました。 また、大学や先生方にご配慮いただき、夜間大学(中央大学土木工学科)へも通わせていただき、昼に夜に忙しく過ごしておりました。この時に得られた経験や知識、限られた時間での効率的な動き方などが、今の私を形成したのだと改めて感じています。もちろん、この時代に私を助けて下さった皆様との繋がりが最大の財産であることは言うまでもありません。 大学卒業後、1995年から2005年までを川田建設、川田工業にて従事し、多くの経験を積ませていただきました。特に、橋梁の補修工事現場では、道路規制や協議書の作成から始まり、足場の仮設、補強部材の手配から施工管理まで、一連の現場作業を経験させて頂きました。 また、設計業務ではRC橋脚の耐震設計補助から高速道路付属物の設計、鋼床版橋梁の損傷対策等に従事させていただきました。その後、2011年度まで東京工業大学発のベンチャーTTESにお世話になり、小さい組織ならではの営業や実務に従事させていただきました。 2011年12月に、志を同じくする旧知の方々と、橋梁のメンテナンスを専門とするコンサルタントとして、MKエンジニアリングを設立し、現在に至っております。 弊社は、【インフラにプラス100年の安心と安全を】を旗印として、橋梁や構造物の調査・点検、計測や補修設計等に携わっております。また、メンテナンスに対する基本的な取り組み姿勢として、琉球大学下里哲弘先生とともにスマートレトロフィットを提唱し、産官学の連携を活用して新材料や計測・解析・施工方法の技術開発を行っております。昨年ごろより、取り組んできた技術が成果として出はじめ、技術の展開やビジネスプランを計画しているところです。 設立から8年が経過し、業務の質・量ともに少しずつ充実してまいりました。昨年、会社設立時の基調講演でお世話になった、Lehigh大学のJ.W.Fisher先生への近況報告と、海外のメンテナンス事情の視察を兼ねて三木千壽先生達と渡米してまいりました。初めてのアメリカに目を回しつつ、世界から集まった研究者や現場技術者との議論や歴史ある橋梁の数々を見たことは、とても良い経験となりました。 MKエンジニアリングのMはMaintenance、KはKnowledgeです。社名に恥じない技術者としてこれからも安心・安全を提供できる様に精進してまいろうと思います。 次回は、共同研究や琉球大学での耐候性研究会で、公私ともにお世話になっております川田工業の長坂康史さんにお願いしたいと思います。

愛知製鋼