人とのつながりを大事に

大場 誠道

株式会社大林組
生産技術本部 橋梁技術部長
大場 誠道さん

大学進学後の学科選択で、土木学科の和気藹々とした雰囲気にひかれ土木を専攻。大林組の橋梁技術部長を務める今も、「技術開発から設計、現場の最前線に至るまで、たくさんの人とつながり、協力することがこの仕事の魅力」と語る。 1989年に入社。PC橋の設計・施工支援など国内外の橋梁プロジェクトに従事してきた。海外事業は特に印象深い。台湾新幹線建設(2000年3月~04年10月)では、デザインマネージャーとして設計業務を統括し、現場での技術指南も行った。「初の海外赴任。公用語は英語。日本で施工実績のないPSM(プレキャスト・スパン・メソッド)工法を採用するなど試行錯誤の連続」と振り返る。 PSM工法は現場周辺に製作ヤードを整備し、ワンスパン単位で橋桁を製作・架設していく工法だ。橋桁の重量は約550トンにも及び、特殊架設機材で一日に2~3スパン架設することで、20キロにわたる高架橋の架設をわずか一年で完了させた。 帰国して一年後、ドバイメトロの鉄道高架橋整備事業へ設計責任者として赴任する。海沿いの砂漠都市という特殊な環境下に、「コンクリートにフライアッシュや高炉スラグ微粉末を混入し、塩害を予防した。地下構造も変則的で細かい対応が必要となった」と工夫を説明。 また、UAEは日本と違い、土木分野でもデザイン性を追求すると指摘し、「色ひとつ選ぶのも王族の方々からご承認いただく。デザインに合うよう設計や施工時に対応した」とも。 海外での苦労話を聞くなか、「逆境で大変だったのでは」と尋ねると、「家族には負担をかけたが、そう思ったことはないですね。大らかな社風も合っている」と笑顔。苦を苦としない寛闊な人柄がのぞく。「技術開発の分野でも、現場を含めチームを大事にするよう心掛けている」と仲間を思いやる。 北海道大学大学院卒業。1964年生まれ。 (山田由乃)

愛知製鋼