吾唯知足2019年7月21日号掲載分

吾唯知足 橋梁記者稼業約46年のある時期、橋の防錆には、亜鉛メッキを施した上での防錆塗料が極めて有効という見方が多く広まり、追跡したことがある▼西日本のある地区でなぜかその実績が多いことが分った。取材を続けると、どうやら発注者の中に亜鉛メッキが好きな技術者がいるということが分った▼小欄で、20カ国・地域(G)首脳会議(6月28・29日)前、米国と中国との貿易摩擦戦争たけなわで初議長国となる大阪G20はどうなると思わず、大阪でどんな懸け橋が架けられるか、と書いた▼米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席が握手。米中の貿易摩擦はひとまず、落ち着きを見せた▼令和初の国賓となった高揚感からか、トランプ米国大統領はその翌日、金正恩朝鮮労働党委員長に、板門店で会いたいとツイートし、そのまま韓国へ、そして軍事境界線を越えて越境するという、とてつもない懸け橋を架けた▼ただ、この壮大な懸け橋は、どんな橋種となるのか、メッキの剥がれを注視していかねばなるまい▼ロシアのプーチン大統領、ドイツのメルケル首相など、国利国益が複雑に絡みあい、早くも北方領土交渉には暗雲が漂う。大きな懸け橋には、桁違いの「フネ」(溶融亜鉛槽)が必要なことは、言うまでもない。

愛知製鋼