吾唯知足2019年9月1日号掲載分

吾唯知足 近年、政府のスローガンは地方創生、地方再生、そして復興だ。しかしその地方が悲鳴をあげている。大阪や福岡などの観光中核都市で、特に韓国からの旅行中止やホテルのキャンセルが多くなっているという▼記者はこれまで何度も韓国で取材してきた。ソウル市内は金浦空港からタクシーで向かった。車窓からは「奇跡のハンガン」と言われた漢江に架かる赤い漢江大橋が見えたものだ▼仁川(インチョン)国際空港連絡大橋現地で建設JVの統括、管理を務めていた日本の設計会社のNさんは、本四連絡橋時代にお世話になった方だ。瀬戸大橋工事で活躍したSEP(自己昇降式作業台船)もあり、なつかしさが込み上げた▼韓国ゼネコンの大林産業設計課長にインタビュー取材して、挨拶早々の依頼に驚いた。「日本の橋梁で、失敗した事例があれば、リストでください」と。仁川大橋や橋梁の建設計画や構想が目白押しだったから、か。後に完成する広安大橋、釜山港大橋、釜山大橋など長大橋の建設整備をみれば、うなずける依頼だった。当時、単に「アメリカサイズされているから」と思ったことを恥じ入るばかりだ▼話は戻るが、橋梁は地方創生の有効策となる。関係斯界、関係者には真摯に地元の声を聴いてもらいたいものだ。

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