技術を若い世代に

深谷 茂広

株式会社長大
構造事業本部副技師長
深谷 茂広さん

東北大学で大学院1年に入学したばかりの昭和53年6月、宮城県地震が起こった。宮城県からの橋梁被災調査に長大が現地入りし、倉西茂教授が率いる橋梁研究室にドライバーと点検補助員の協力依頼が入る。
「私はその時はじめて長大という会社の存在を知りました。この時の体験がもとになり、卒業後の就職先を決めたわけですが、入社してから、本四架橋をはじめとする長大吊橋や斜張橋を得意とする会社であることを知ったのです」
その後一貫して、長大吊橋や斜張橋の構造計画から設計、施工管理までの一連のプロジェクトに関わり、現在に至ることになる。
「国内の長大橋建設が減るなか、近年では海外の案件も加わっていますが、これだけの大プロジェクトに絶え間なく恵まれ、技術者として幸せなことだと感謝しています」
明石海峡大橋をはじめ、白鳥大橋、多々羅大橋、豊島大橋、鷹島肥前大橋、生名橋、海外では香港珠澳門大橋、第三ボスポラス橋など、名だたるプロジェクトが並ぶ。
なかでも一番印象に残るのは明石海峡大橋の耐風設計だ。
「それまで専門としていたことと別の分野に目を向け、橋梁への理解をより深めるきっかけになった案件で、その後の私の仕事に大きな影響を与えることになりました」
近年は後進の育成にも力を注ぐ。
「わが社のバックボーンである長大橋の技術を若い世代に伝承していきたいです」
趣味はテニス。
東北大学大学院卒。愛知県出身。62歳。
(根津寿子)

愛知製鋼