技術革新で業界に貢献

岡部 成行

株式会社オカベメンテ
代表取締役
岡部 成行

1988年にピーエスコンクリート(現ピーエス三菱)に入社。27年間、PC橋の設計・施工に従事した。「PC吊床版橋から、PCT桁橋、張出し施工、アーチ橋まで様々な橋梁や工法を経験させて頂いた」と振り返る。技術力を磨き、30代前半には難関の技術士資格を取得した。  矢部川大橋(福岡県)の施工では、基礎工事途中で想定外の基礎沈下が発生して、1年間あまり対策工事に奮闘した。しかし、難工事以上に堪えたのが報道などのバッシングだった。 当時は、政権交代後の「コンクリートから人へ」がスローガンだった時代。「若い社員が参ってしまい、涙ながらに『世の中の役に立ちたいと思ってこの業界に入ったのに、悪人扱いで納得いかない』と言われた時はかける言葉がなかった」。  苦難を乗り越え、矢部川大橋が竣工したときは「無事に竣工して感極まった」と笑顔。2009年3月に供用を開始した同橋は、261㍍の国内最長級スパンを誇るPC斜張橋としていまだ注目を集めている。 その後、尾道・松江道のPC橋梁や沖縄の臨港道路橋などの工事を担当したが、笹子トンネルの事故を契機に、維持管理の大切さを痛感。沖縄で橋梁メンテナスに携わる会社を設立した。  現在は、橋梁のドローンやレーザースキャナによるモデリング点検から、維持管理のCIM化に向けた技術開発を手掛ける。  「橋梁のサスティナビリティが提唱されるようになり、弊社のようなベンチャーも新技術でチャンスが掴める時代がきています。イノベーションで社会と橋梁業界に貢献したい」と抱負。50代を迎えさらに橋梁に情熱を注ぐ。熊本工業高校卒、熊本県出身。 (山田由乃)

愛知製鋼