橋に携わり多くの人と出会う

西口裕之

株式会社IHIインフラ建設
橋梁事業部技術部PC橋グループ課長代理
西口 裕之

私が公私ともに永年お世話になっている城代様よりバトンを頂きました。私は、大学を卒業後、1998年にピーシー橋梁に入社しました。 奇しくも、先日勤続20年の表彰を会社から受けました。その節目の年に、いつも読む側だった私が「私の橋歴書」を執筆することができ大変光栄に思います。また、20年間を振り返る良い機会となりました。 入社時は希望していた設計部に配属され、先輩方の補助として業務を行いながらPC橋の設計のことを多く学びました。当時はCADによる図面作図が普及し始めた頃だったため、新入社員の私は大量にある図面を修正しながら、先輩方の数字の綺麗さや手書き図面の難しさを感じたことをよく覚えています。 初めて主担当として携わった橋が島根県に架かる橋でした。客先との電話や打合せなどを行いながら日々業務を進めていく中で、失敗や客先にご迷惑をかけたことも多々ありましたが、業務が無事完了した時は、田舎が島根県ということもあり、微力ながらもふるさとに貢献したように感じ、非常にうれしかったことを今でも覚えています。 入社7年目に携わった和歌山県に架かる川関高架橋では、設計主担当となり設計完了後に1年という短期間ではありましたが施工に携わる機会を得ることができました。 現場では設計担当者が現場に従事するということで、協力会社さんから色々質問を受けたり、怒られたりと大変ではありましたが、改めて設計と施工の両方を担当することができるという施工会社ならではのやりがいを実感することができました。 2011年10月にイスミック、松尾エンジニアリング、ピーシー橋梁が3社統合し、IHIインフラ建設にてPC事業に携わっています。統合により、水門や鋼橋など違う分野の人と接することができ、刺激を受けています。統合してからの業務としては、新設橋より補修・補強の業務に多く携わっています。  その中の近江大橋主桁補強工事は、当初はB活荷重対応を目的とした外ケーブルによる主桁の補強工事でした。しかし、橋梁点検時に主桁ウェブ側面の浮きが確認され、グラウト未充填、PC鋼材腐食の懸念が生じたために、グラウト充填度調査を行うことになりました。  それまで、新設の橋梁の設計しか経験がなかった私にとって、調査方法の選定、調査結果の判定および評価と戸惑うことばかりでしたが、いま振り返ると非常に良い経験になったと実感しています。 2016年からは大規模修繕工事の調査業務および補強設計に携わりました。昭和40年代後半に建設されたポストテンション方式T桁橋の健全性評価を行い、補強設計を行う業務です。調査を進めていく中で、桁の損傷を目の当たりにしただけでなく、径間によって損傷の傾向が異なりその損傷の多様さにも驚きました。 また、発注者と協議し、補修方法および補強量を決定するのには、幅広い専門知識が必要であり、改めて補修・補強業務の難しさを感じました。現在は、RC床版の修繕工事に奮闘しています。 この20年間、ほんとうに多くの橋梁に携り多くの人と出会うことができました。まだまだ、橋人生の折り返し地点ですが、今後も様々な橋梁に携わることで、人と出会い、その出会いを大切にしつつ謙虚な気持ちでこれからも日々努力したいと思います。 次回は、様々な所でご活躍されている京都府山城北土木事務所の春田健作様にバトンをお渡しします。

愛知製鋼