橋の大小に関係なく

西村 一朗

株式会社 長大
構造事業本部第三構造事業部福岡構造技術部長
西村 一朗さん

平成6年に入社し、主に、橋梁の新設設計に携わってきた。 記憶に残る橋として平成19年に設計した新曽木大橋を挙げる。 鹿児島県伊佐市、川内川に架かり、『東洋のナイヤガラ』と称される曽木の滝の下流に位置する橋梁で、鹿児島県が発注したもの。 主塔高70メートル、橋長204メートルの斜張橋だった。  当時、斜張橋の設計は初めてのことだったそうだ。 「ケーブルの緊張力の計算などやってみて初めてわかることが多かった」という。 悩み、壁にぶつかった時には初心に立ち返る。 会社の先輩らが残した設計資料を読み返し、自分なりに解決方法を考え、突破口を開いたそうだ。 新曽木大橋は平成23年に完成した。 現在も周辺住民の生活道路として、また四季折々の自然を楽しむため訪れる観光客の散策コースとなって地域を支えている。 自分が設計した橋は、施工中、施工後に架橋地に赴くのが信条。過去に設計した橋の反省点や改善点を次の設計に生かすためだという。 また、今まで橋が無かったところに橋が架かり便利になったことや、利用者が安心して利用しているところを見ることができた時に、橋の大小に関係なく、この橋の建設に携わることができてよかったと設計者としての喜びを感じるという。 若い技術者にも「現場を見てこそしっかりした設計ができる」と教える。 長崎大学大学院修了。 長崎市出身、50歳。(川村淳一)

愛知製鋼