災害を前に、技術者として・・・

椛島 秀一郎

エイコー・コンサルタンツ株式会社
設計部係長
椛島 秀一郎さん

九州産業大学で土木を学び、福岡市内の建設コンサルタントに勤務、橋梁技術者として研鑽を積んでいた2012年、「平成24年7月九州北部豪雨」が発生。 熊本、福岡、大分などにかけ集中豪雨により、土砂崩れ、道路の寸断、河川の氾濫をもたらし、避難勧告が発せられ、孤立した地域も多数、人的被害も発生した。 こうした地元の状況を目の当たりにし、「土木技術者として何か出来ないかと考えました」。 福岡県が復旧事業のための技術職員を募っていることを知り、勤めていたコンサルを辞職、八女県土整備事務所で、決壊した矢部川の支流・笠原川の復旧と、そこで流出した3本の橋の架替えを担当した。 「被災し、生活に不自由している人が目の前にいる。災害復旧は時間との勝負でした」 被害が大規模に、そして広域的なものになると、人手や資材が不足する。災害は平常時の備えが重要だと痛感したそうだ。 「この時は県内で事業中の有明海沿岸道路に関わっていた業者等が多数、応援に駆け付けてくれたこともあり、なんとか円滑に進めることが出来ました」 3年間、復旧事業に携わったことは技術者としてやりがいを感じると共に、その後の飛躍にもつながったと振り返る。 3本の橋の完成を目前に、2015年、県職員を辞し、再び民間のエイコー・コンサルタンツに入社。 現在は補修・補強が主な業務。 「災害復旧のような時間勝負ではありませんが、構造物をいかに長持ちさせ、後世に残すか、創意工夫をもって臨んでいます」。39歳、福津市出身。 (川村淳一)

愛知製鋼