耐朽性向上に30余年

谷川 充

株式会社ザイエンス
営業本部技術支援チーム チーフ
谷川 充さん

1987年に入社。木質資材の耐朽性向上に30余年を捧げてきたベテランだ。橋の関係では木橋技術協会の理事も兼任している。 木橋に興味を持つようになったきっかけは、スギやヒノキ、保存処理木材の屋外での耐朽性評価試験や、公園に設置されたイペやボンゴシなどの高耐久性木材が使用された木道やデッキの劣化調査の業務などが出発点。これがのちに、公園施設業協会がまとめた「遊具の規準」で木材・保存処理・点検手法を担当したり、木橋の劣化調査やメンテナンス手法の検討をしたりする活動につながっている。 特に木橋に関しては、「次第に規模の大きな木橋の精密点検、管理者への維持管理の提案を行う事例が増え、当時、任意団体であった木橋技術協会とも関係が深くなり、『木橋の点検マニュアル第2版』の木材・木材保存を担当させていただきました」。 木橋の仕事で感じることは「生物材料としての木材の特性が生かされきれずに、維持管理も含めてほかの構造用材料と同じような扱いがなされてしまい、早期に劣化が進行してしまう事例に直面した時の木材に申し訳ない気持ち」。と同時に、「設計者や管理者の方々に、少しずつでも耐朽性向上に向けた適切な耐久設計、維持管理手法が広がっていくよう、より一層努めていかなければいけないな、という思い」だという。 一方「精密点検を経て、管理者に維持管理手法の提案をした木橋を、後日、自分の目で、健全性が確認できたときには、嬉しさでいっぱいになります」。 同社では、木橋を含めた屋外の木製構造物に対し、さまざまな用途の防腐・防蟻薬剤、保存処理材料の提供、施設そのものの設計・製造・施工、耐久性を高める設計や定期的な点検などの提案を幅広く手掛けている。 抱負は「木橋の世界の法隆寺」を創出する「100年木橋プロジェクト」。 (根津寿子)

愛知製鋼