EQM─J工法を普及

山王株式会社代表取締役深水 弘一氏の写真

山王株式会社
代表取締役
深水 弘一さん

平成19年から開発に取り組む埋設型伸縮装置「MMジョイントDS型工法」が、施工技術総合研究所による実物大供試体試験の合格を得て、「再劣化に対策を講じたいと考えている全国の自治体に工法を知ってもらいたい」と26年に一般社団法人MM―JOINT協会(現全国道路橋ジョイント業協会)を設立、会長に就任した。
国道266号八王寺跨線橋の補修は思い出深い。重交通の跨線橋に埋設型伸縮を入れる工事で、MMジョイントDSを設置した。
「既設ジョイントを撤去し床版の状態を確認すると、非常に劣化しており、埋設ジョイントを設置できない状況でした。床版の補修方法、設置方法を発注者と協議し、無事に竣工、今日でも健全な状態を維持できています。床版の健全化の重要性を再認識することができました」
今注力するのは伸縮のみでなく床版の耐久性確保も狙う「EQM─J工法」の普及。
「従来、伸縮装置の補修では既設ジョイントの撤去時にブレーカーやチッパーなどハツリ作業の衝撃で床版に微細なクラックが発生します。そこで脆弱化した床版を強固にする補修法であるEQM工法をMMジョイントDS型の中に入れる工法に取り組み、日本大学の阿部忠教授が輪荷重走行疲労実験で性能評価をしてくれています」
地元熊本で地震に遭い、伸縮の破損で車両が通行できない場面に遭遇、伸縮も耐震性が必要と実感した。「MMジョイントDS型を入れた橋は損傷が軽微で車両が通行できました。今後はこの経験をもっと全国に知ってもらいたいです」
熊本商科大経済学部卒。熊本県出身。65歳。(根津寿子)

愛知製鋼